Steam,Switchなどで展開中のインディーズパズルゲーム、ザ・ブリッジ(The Bridge)のストーリー解説を行っていきます。
「エンディングまでたどり着いたけど話がよく分からん」、「結局タイトルのBridge(橋)って何なん?」みたいな疑問を思ったプレイヤーは多いでしょう。
私も同じ疑問を抱いたのですが、5年以上前のゲームなので他サイトが解説してるかなと思って調べたら誰もやっておらず…ということで粗方調べて自分で書くことにしました。
執筆の際、SteamのProt考察フォーラム(英語)は大いに参考になりました。感謝。
そもそも主人公のおっさんは何者?
このゲームの登場人物は主に二人です。主人公と主人公の研究仲間です。研究仲間がいることは一面のテキストから言及されていますね。


察しの良い人なら分かっているかもしれませんが、この二人の人物にはモデルがいます。
主人公はだまし絵(トリックアート)で有名なエッシャー、研究仲間は物理学者でお馴染みのニュートンです。
現実の肖像画とゲーム内の二人を見比べてみると外見がほとんどそっくりなこと、だまし絵を利用したギミック(エッシャー)、オープニングの木から落ちてくるリンゴ(ニュートン)などのヒントからほぼ間違いないでしょう。
ただし現実の二人とは設定が大きく異なり、ゲーム内の二人は数学者(or科学者)でとある研究開発を行っていたようです。それがキューブと呼ばれる謎の立方体です。

エッシャーの身に何が起こったのか
エッシャーとニュートンが研究していると、ある不幸な出来事が起こります。親友のニュートンの死です。死因や時期は不明ですが、この一件以来、エッシャーは深く塞ぎ込んでしまいます。

元からニュートン以外の人を信頼しておらず疑り深いエッシャーは孤独な歳月を送るに連れて狂気に駆られるようになります。そんな孤独な老人のエッシャーが若かりし頃から今までを回想した夢世界がゲーム内のあのモノクロ世界だと思われます。

モノクロ世界は何を意味するのか
モノクロ世界は老齢のエッシャーが見ている夢世界だと考えられます(死後の世界という説もある)。スタートが昼寝をしているエッシャーから始まっており、操作キャラが若かりし頃のエッシャーであることが根拠です。
この夢世界でエッシャーは老いていく自身の肖像画や彫刻とテキストプロットを通して自身のこれまでの人生を回想していきます。エッシャーは自身が経験した研究への情熱や孤独故の狂気を顧みて最後に橋を目指します。

エンディングの意味
表面でも鏡面でもエンディングはエッシャーが橋(タイトルのBridge)を渡るシーンで始まります。
表面だと橋の上には何もなく途中でモノクロ世界が終了しカラー世界(=現実世界)に飛ばされますが鏡面だと画面がホワイトアウトする直前にニュートンとエッシャーの姿が見えます。

ここからの結末はわずかな描写しかされてないため、私の想像になります。
このシーンでエッシャーは見失った自分を取り戻したのではないのかと推測しています。
テキストから想像される老齢のエッシャーはさぞかし気難しい人間だったと思われますがこのシーンでは老人エッシャーは微笑んでいます。
すなわち、橋の先にいる老人エッシャーは現実とは異なる空想上のエッシャーで、あり得たはずのもう一つの自分の姿を表していると考えられないでしょうか。
そして、自分を取り戻したエッシャーの夢が終わり、カラーの現実世界に戻り、壊れた我が家を眺める。というのが物語の結末なのではないかと想像しています。
あとがき
現実のエッシャーは永久機関や永遠に下り続ける階段などのだまし絵が有名ですが、こういった絵の真意は「絵で無限を描く」というコンセプトがあったのではないかという説があります。(参考)
このゲームもエンディングにたどり着くとオープニングのシーンに戻されるいわゆる「ループもの」演出が採られていますがこれはエッシャーの無限や輪廻と掛けているのかもしれませんね。

正直なところ、もっとメッセージ性の強いストーリーを期待していたためやや肩透かしを喰らいましたが、、、
まあ300円ぐらいで買ったのでこんなものなのでしょう。
製品情報
タイトル・・・ The Bridge (ザ・ブリッジ)
配信日・・・ 2013年2月23日
プラットフォーム・・・ PC switch PS4他
開発・・・ Ty Taylor and Mario Castañeda
Steam版
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